足の血管病が疑われる場合、足の皮膚や筋肉の状態、動脈の拍動、痛みの程度などをチェックし、必要に応じて検査をします。
閉塞性動脈硬化症
閉塞性動脈硬化症
主に足の血管に起こる動脈硬化で、末梢動脈疾患とも呼ばれています。足に冷感やしびれ、歩行時に痛みやだるさを感じる、という症状があり、重症化すると安静時にも症状が現れ、手足に潰瘍ができ壊死することもあります。とくに50歳以上の男性に多い傾向があり、喫煙・肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常症・慢性腎不全などが原因と考えられています。閉塞性動脈硬化症を発症した場合には、下肢動脈だけでなく全身の血管も動脈硬化が進んでいる可能性が高いので注意が必要です。
典型的な症状は間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼ばれている歩行障害です。具体的には安静時や歩きはじめには痛みはありませんが、歩き続けるとふくらはぎなどの筋肉が痛み、歩き続けることができない状態です。数分間休むと症状は軽減し、再び歩きはじめることができますが、歩きはじめるとまた痛みや疲労感を感じるということを繰り返します。同じような症状の原因として、脊柱管狭窄症があり、治療方法が大きく変わるため、診断が重要です。
足の血管病が疑われる場合、足の皮膚や筋肉の状態、動脈の拍動、痛みの程度などをチェックし、必要に応じて検査をします。
足関節上腕血圧比では、心臓と足関節との間の動脈が狭くなっているかを測定します。
ABI値1.0以上が正常で、0.9以下であれば、足の動脈に病変がある(下肢閉塞性動脈硬化症)と断定できます。この数値が低いほど重症とされます。
閉塞性動脈硬化症の診断で、ABI測定とともによく使われている検査です。検査中に下肢動脈全体を描出することができ、カラードプラ法の併用で、詳細に血管病変をとらえることができます。
ヨードが入った造影剤を注入して、X線をあてて動脈の形態を調べる動脈造影検査は、頸動脈狭窄の確定診断に欠かせない検査ですが、侵襲的な検査になります。CTやMRIの装置を使うCTアンギオグラフィやMRアンギオグラフィなど侵襲の少ない検査を動脈造影検査の前に行うことができます。
閉塞性動脈硬化症の治療は重症度に応じて異なります。重症度を分類したFontaine分類では、以下のような指針が示されています。
I度(軽症)は、禁煙をはじめとする動脈硬化危険因子の管理と治療、II度は、薬物療法に加えて心臓リハビリテーションなどの運動療法を行い、血流をよくするために血管内治療や外科的治療などの血行再建術が必要かどうかを検討します。
IIIまたはIV度(重症)では、血行再建術を積極的に検討し、潰瘍や壊疽によってこれができないときには、新しい血管をつくる血管新生療法も検討します。
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