血圧は一定ではない!?‐日内変動や季節変動、夜間覚醒の影響について‐
- 2025年4月28日
- 生活習慣病
こんにちは。理学療法士の澁川です。
当クリニックでは、高血圧症や心臓リハビリテーションで通院されている方に対し、ご自宅での血圧測定をお願いしております。
測定結果は、血圧手帳や心臓病手帳にご記録いただくことで、日々の健康管理や治療の参考にさせていただいております。
さて、血圧というと「高い・低い」といった数値ばかりに目が向きがちですが、実は血圧は1日の中でも、季節によっても、そして睡眠の質によっても少なからず変動しています。
今回は、この「血圧の変動性」について、3つの視点をもって詳しくお話ししたいと思います。
1.血圧は1日の中でも変動します
私たちの身体には、「サーカディアンリズム(概日リズム)」という24時間周期の生体リズムが備わっており、血圧もこのリズムに従って一定のパターンで変動しています。
一般的に、血圧は早朝緩やかに上昇を始め、午前中にピークを迎えます。これは目覚めとともに活動モードに入る体の自然な反応です。その後、午後から夕方にかけて緩やかに低下し、夜間には最も低くなるのが通常のリズムです。これは、就寝中に自律神経の副交感神経が優位になり、身体がリラックスした状態になることによるものです。
ただし、この日内変動には個人差があります。生活習慣やストレスの有無、睡眠の質などが大きく影響するため、毎日の血圧測定は「朝と夜、決まったタイミングに行う」ことが非常に重要です。
特に高血圧の方において気を付けていただきたいのが、夜間に低くなった血圧が早朝に急上昇する「モーニングサージ」という現象です。早朝の血圧上昇が心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める可能性があるため、注意が必要です。
2.血圧は季節によっても変動します
血圧は気温にも敏感に反応します。特に冬場は寒さによって血管が収縮しやすくなり、その結果、心臓がより強い圧力で血液を送り出す必要が生じ、血圧が上昇しやすくなります。反対に、夏場は血管が拡張しやすく、血圧は比較的低下傾向になります。
この季節による血圧の変動は、高齢者や血圧の治療を受けている方にとって、特に重要なポイントです。
寒い季節には、室内の適切な温度管理を行うことに加え、必要に応じて医師と相談のうえ、降圧薬の調整などもご検討いただくことが望まれます。
最近のような季節の変わり目で朝晩の気温差が激しい日は、体温とともに血圧の管理にも十分に注意を払う必要があります。
3.夜間の中途覚醒は朝の血圧に影響を与えます
夜間に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」が、翌朝の血圧に悪影響を及ぼします。
通常、深い眠りの間は血圧が下がり、心臓や血管が休息する時間になりますが、中途覚醒が頻繁に起こると自律神経の交感神経が刺激され、リラックスした状態が保てなくなってしまいます。その結果、朝起床時の血圧が通常よりも高くなってしまうのです。
特に、高血圧の治療を受けている方には、夜間に血圧が下がらない「ノンディッパー型」と呼ばれるタイプの方も多く見られます。このタイプは心血管疾患のリスクが高くなるため、適切な治療や生活習慣の見直しが不可欠です。
良質な睡眠を確保するためには、就寝前のスマートフォン使用を控える、カフェインやアルコールの摂取を見直すなどの工夫が有効です。必要に応じて睡眠導入剤の使用を検討する場合もありますので、不眠や夜間の覚醒にお悩みの方は、どうぞ遠慮なく当クリニックまでご相談ください。
血圧は単なる「数値」ではなく、日々の生活環境や体内のリズムと深く結びついています。
日常のちょっとした変化(気温、睡眠、ストレスなど)が、血圧に大きな影響を与えることも少なくありません。
だからこそ、「いつ、どのように血圧が変化しているのか」を把握することが、より的確で効果的な健康管理の第一歩になります。
当クリニックでは、血圧の記録や測定方法に関するご相談はもちろん、日常生活の見直しや睡眠の質の改善、服薬管理まで、トータルなサポートをご提供しております。
患者さん一人ひとりの生活スタイルや体調に寄り添いながら、安心して健康を維持できるよう、スタッフ一同全力でお手伝いさせていただきます。
血圧や健康に関して少しでも気になることがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。