正しい血圧の測り方③:最新のガイドラインが推奨する測定方法や注意点
- 2026年1月5日
- 生活習慣病
新年おめでとうございます。
今回は、前回ご紹介した「高血圧管理・治療ガイドライン2025」が推奨する血圧の正しい測定方法についてご説明します。
家庭での血圧測定は、ちょっとした姿勢や環境の違いで数値が変わってしまうことがあります。
できるだけ正確な血圧を知るために、ぜひ以下のポイントを意識してみてください。
● 家庭血圧測定の方法・条件 (*ガイドラインP33 表2-1より改変)
測定機器: 日本で販売されている上腕カフ・オシロメトリック式の家庭血圧計
測定環境:
1)静かで適温の室内
特に冬の時期に寒い部屋で測定すると血圧が上昇する場合があります。
2)原則として背もたれ付きの椅子に脚を組まずに座る。
3)測定前安静時および測定中は会話を交わさない。
静かに測定することが大切です。
4)測定前の喫煙、飲酒、カフェイン摂取は避ける。
5)カフ位置を心臓の高さに維持できる環境
測定機会:
1)必須の機会と条件
a) 朝 起床後1時間以内
排尿後
朝の服薬前
朝食前
座位1~2分安静後
b) 晩 就床前
座位1~2分安静後
2)追加の機会
a) 指示により、夕食前、晩の服薬前、入浴前、飲酒前、夜間睡眠時など
b) その他、自覚症状のある時、休日昼間など適宜
測定回数とその扱い:
1機会に原則2回測定し、その平均値を採用する
1機会に1回のみ測定した場合には、その値をその機会の血圧値として用いる
測定期間: できる限り長期間
記録: すべての測定値を記録する。
このように、一つ一つのステップを丁寧に守ることで、測定誤差をできるだけ小さくし、実際の血圧状態を正確に把握することが可能になります。
では、基本的な測定方法を知っていただいたうえで、実際に気を付けてほしいことをお伝えします。
● 実際の測り方(*ガイドラインP32 図2-1より改変)
1)服装
素肌もしくは薄手の服。上着や厚手のシャツは脱いでおく。
2)血圧計の確認と位置
・血圧計を両胸の正面ではなく、測定する腕側の肩の正面で、体勢が窮屈にならず、かつ上半身から離れすぎない位置に置く。
測定する腕が少し開いた位置になるのは構いません。
・腕帯(カフ)の中心を心臓(乳首が目安となる)と同じ高さになるように、かつ上腕が不自然な体制にならないように、机と椅子の高さを調整する。
上腕が心臓より高い(低い)と、静水圧の影響で血圧が低く(高く)なる可能性があります。
3)姿勢
・腕を差し込み、前腕が支えられる位置まで肘を出す。
・前かがみにならない姿勢を維持する。
前かがみになると腹圧がかかって血圧値が高く測定される場合があります。
・力を抜いて、手のひらは上向きにする。
・脚は組まずに両足を床につける。
4)測定前と測定中の注意点
・椅子に腰かけてリラックスし、1~2分安静にする。
・腕の力を抜いて、測定ボタンを押す。
・測定中は腕や体を動かさず、会話をしない。
具体的には、下の写真のように前かがみになってしまうことに注意しましょう。
この姿勢では血圧が正確に測定できない可能性があります。
さらにこの写真では血圧計を設置している台の下に脚を通せないため、脚が窮屈になっています。

当クリニックに設置しているOMRON社製の「健太郎」という測定機器には、“正確測定Navi”が書いてあり、「横向き」になって「背筋を伸ばす」ことが明記されています(下の写真の黄色線)。

この場合、正しい血圧測定方法は、次の写真のようになります。

このように機器や環境によっては、少し工夫が必要となります。
上述したように、1つの機会で 原則2回 測定することが推奨されています。
2回測定し、その平均値を記録するようにしましょう。
1回のみ測定した場合は、その血圧値をそのまま記録しましょう。
もし3回測定した場合は、3回の平均値を求めてください。
一方でガイドラインには、1つの機会に4回以上の測定は勧めないと記述されています。
自分が納得する血圧値になるまで何度も測定したくなりますが、2回測定してその平均値を素直に受け止めて記録することが大切です。だいたい最初の血圧の方が高くなることが多いです。1回目が高くても慌てず、落ち着いて2回目を測定し、平均してくださいね。
また、基本的に家庭血圧は利き手と反対の腕で測定します。
もし血圧に左右差がある場合などは、主治医やかかりつけ医にご相談ください。
以上、新しく公表された「高血圧管理・治療ガイドライン2025」に関連して、
この3か月間にわたり、正しい血圧測定についてご説明してきました。
皆さまの日々の健康維持に、少しでも当クリニックがお役に立てれば幸いです。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
*日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン委員会編:「高血圧管理・治療ガイドライン2025」ライフサイエンス出版
本稿は日本高血圧学会より「高血圧管理・治療ガイドライン2025」転載利用許諾を得ています。
(文責: 理学療法士 澁川)