正しい血圧の測り方➁:最新のガイドラインが示すポイント
- 2025年12月10日
- 生活習慣病
今年の夏、日本高血圧学会より「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」が発刊されました。
これは、2019年に公表された「高血圧治療ガイドライン2019」の改訂版にあたります。
ガイドラインには、学会のホームページからダウンロードできるものもありますが、高血圧のガイドラインは1冊の書籍としてまとめられています。(下写真)

新しい高血圧ガイドラインには、血圧の測定方法や家庭血圧の重要性など、新たな視点を含む内容が盛り込まれています。
また、このガイドラインには、2025年1月の本ブログでご紹介した論文の成果が反映されており、具体的には以下の項目に引用されています。
「CQ7:血圧管理を目的としたスマートフォンアプリによる介入は、一般成人において血圧を低下させるか?」(P87-90)
➡ 推奨の強さ:2(弱い)/エビデンスの強さ:A(強)
日本高血圧学会による事業・研究に関わらせていただき、このような形で少しでもガイドラインに貢献できたことは大変光栄です。
ここから、ガイドラインに記載されている血圧測定に関する要点を整理します。
● 高血圧診断基準は変更なし
診断基準は従来通り 診察室(外来)血圧 140/90 mmHg以上、家庭血圧 135/85mmHg以上 となっています。
● 降圧目標値の改定
降圧目標が分かりやすく統一されました。
降圧目標は、年齢・併存疾患を問わず一律で、以下のようになりました。

ただし、個別性と安全性を重視し、有害事象・副作用に注意しながら降圧治療を行うことが強調されています。
もしかすると、糖尿病のある方やご高齢の患者さんは、最近かかりつけ医や看護師さんから生活指導を受けたり、降圧薬を追加されたりしたかもしれません。これは、このような背景があり、これまでよりも血圧の目標値が少し厳しく設定されるようになったためです。
● 家庭血圧測定の重視
今回のガイドラインでは、家庭血圧測定(セルフモニタリング)の重要性がこれまで以上に強調されており、診察室血圧だけで判断することの限界が改めて示されています。
当クリニックでも、来院時の診察室血圧に加えて、患者さんご自身による家庭血圧の測定・記録を重視しています。
血圧手帳や心臓病手帳には、朝(可能であれば夜も)測定した血圧の記録をお願いしています。
こうした家庭血圧を適切に評価するためには、正しい測定方法で血圧を測ることが推奨されています。
ガイドライン本文にも、「家庭血圧の臨床的価値は、標準化された方法での測定により高まる」(p.43)と明記されています。
では、どのような血圧計を使い、いつ、どのタイミングで、どのように測定するのが理想なのでしょうか。
次回は、ガイドラインが推奨する具体的な血圧の測定方法をご紹介します。
(文責:理学療法士 澁川)