高血圧と減塩①
- 2025年6月17日
- 生活習慣病
こんにちは。
南草津ひだまりハートクリニック 管理栄養士の安原です。
今回は、高血圧と減塩について紹介したいと思います。
高血圧には様々な要因が関係しますが、その要因の一つが塩分です。
血圧が高い方は、一度は「減塩しましょう」と言われたことがあるのではないでしょうか。
厚生労働省が実施している国民健康・栄養調査(令和5年)によると、
日本人の1日の食塩摂取量の平均値は9.8g(男性10.7g、女性9.1g)でした。
1950年代には食塩摂取量は15gを超えていましたが、近年では10g程度まで減少しています。
この食塩摂取量は多いのでしょうか?それとも適正でしょうか?
世界の食塩摂取状況と比較してみると、韓国は9.9gと日本と同程度ですが、アメリカ8.6g、イギリス8.0g、フランス7.5g、オーストラリア6.2gと、日本は欧米諸国よりも食塩摂取量が多いことがわかります。
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では、1日の食塩摂取量はどのくらいが望ましいのでしょうか。
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、男性7.5g未満、女性6.5g未満、
日本高血圧学会では、高血圧の予防・治療のためには6g未満に抑えることが推奨されています。
WHOの食事摂取基準ではさらに厳しく、1日5g未満とされており、本来ならばこの基準を目指すことが理想です。
しかしながら、前述の通り日本人は食塩摂取量が多いため、実現可能性と各国のガイドラインなども鑑みて現在の目標設定となっています。
食塩摂取量と加齢による血圧上昇との関係をみた研究では、加齢に加えて長年にわたる食塩摂取量が血圧上昇に影響を及ぼしていることがわかりました。
食塩摂取量が少ないほど、加齢に伴う血圧上昇が緩やかになると報告されています。
食塩を摂らない民族であるブラジルのヤノマモインディアンは、1日の食塩摂取量は1g未満で、最高血圧が100mmHg未満と高血圧はほぼ居らず、加齢による血圧上昇も認められないと言われています。
ヤノマモインディアン以外の食塩摂取量が3g未満の民族でも高血圧の頻度は非常に低いと報告されています。
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また、日本人は、欧米人と比較して『食塩感受性』が高い方が多く、高齢になるとさらにこの食塩感受性が高まると言われています。
この『食塩感受性』に関係する食塩感受性遺伝子を持つ人は、遺伝的に身体に食塩(ナトリウム)を溜めやすく、食塩の摂取量に応じて血圧が変動しやすいという特徴があります。
わが国では高血圧患者さんの30~50%程度がこの食塩感受性高血圧と推測されています。
このような方は減塩による降圧効果が期待できます。
高血圧の予防や治療のために『減塩』に取り組んでみませんか?
次回のブログでは、具体的な減塩の方法についてご紹介いたします。
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南草津ひだまりハートクリニックでは、ご自身の生活に取り入れられ、継続できる食事の方法を一緒に考えていければと思います。
一朝一夕にはいかなくとも、定期的にお話を伺いながら食事改善のお手伝いをさせていただきます。
“食事が大事なのはわかるけど、具体的にどうしたらいいの?”
“外食やお惣菜が中心だから、食事療法は難しそう”
“そうは言っても食事が楽しみだからなぁ”
“既に食事療法を始めているけれど、この方法で正しいかわからない”
お食事でのお困りごとや心配ごとがあれば、是非お気軽にお声かけください。
<参考資料>
・Wakako Kawarazaki, et al. Salt causes aging-associated hypertension via vascular Wn5a under Cloth deficiency. J Cain Invest.2020;130(8):4152-4166.
・Intersalt:an international study electrolyte excretion and blood pressure. Results for 24hour uri-nary sodium and potassium excretion. BMJ 1988;297:319-328